専門医制度 日本在宅医学会と日本在宅医療学会は2019年5月に合併し日本在宅医療連合学会となりました

専門医制度

資格の取得条件

  1. 専門医試験受験には、5年以上の医師としての経験を必要とする。
  2. 一年間以上の在宅研修プログラム了者に試験を行うことを基本とする。
    ただし、自ら在宅医療を5年以上実践しているものは、実績に基づき専門医試験を受けることができるコース(実践者コース)も別途設ける。

実践者コースについて

5年以上の在宅医療(訪問診療)の経験を有するもので、学会が認めたものは、在宅研修施設での一年間以上の研修を免除し、認定専門医試験受験資格を認める。

専門医認定試験

専門医試験は毎年5月~7月の間に実施する。

専門医試験は、書類審査からなる一次審査と、臨床問題を含むMCQ(多肢選択式問題)とポートフォリオ面接(ポートフォリオの成果物に関するプレゼンテーションとそれに対する質疑応答)からなる二次審査からなる。

在宅研修プログラムについて

研修プログラム受講の条件

在宅研修施設での常勤勤務。

研修期間中(一年以上にわたって)、1単位を半日として週4単位以上の訪問診療の研修を行う。また、複数施設でプログラムを共有し、研修者が2つ以上の医療機関で研修を行う場合は、研修医の主に所属する研修施設での週3単位以上の訪問診療の実務研修を含む週4単位以上の訪問診療の実務研修を行う必要がある。

一年間以上の在宅医療研修プログラムを行う場合、以下の2つ研修条件を必要とする。
ただし、在宅医療研修プログラムの中にこれらの研修を組み込んでもかまわない。

a)半年間以上の内科での研修を修了していること
  • 卒後臨床研修修了者は、卒後臨床研修の内科研修をこれにかえることができる。
  • 内科研修については、総合内科、老年内科での研修が望ましい。
  • 医師として10年以上の経験があり、全身管理をされている方は、内科研修を免除する。
b)緩和ケア研修(3か月相当)
  • 緩和ケア研修については、緩和ケア病棟、あるいは緩和ケアチームでの研修が望ましい。

ただし、年間の在宅看取りが10名以上の在宅研修施設での研修においては、緩和ケア研修を免除することができる。

  • 例1)緩和ケア病棟3か月の研修 (のべ50日~60日相当)
  • 例2)緩和ケアチームでの週1回、一年にわたる研修 (52日)

在宅医療研修プログラム、研修施設認定の条件

  1. 在宅研修プログラムの申請を行う施設(主たる研修施設)は、在宅医療を指導できる指導医が常勤する施設とする。常勤とは、指導医が週4日以上勤務する施設とする。
  2. 在宅研修施設について申請するものは、研修プログラム・研修施設申請書を作成し、提出する。「研修プログラム・研修施設申請書」には、研修プログラムの特徴や在宅医療の10のポートフォリオ領域のうちどのような研修が可能かなどが記載されているが、申請にあたってはこの内容を公開することを条件とする。
  3. 指導医は、日本在宅医療連合学会認定指導医とする。 指導医(プログラム責任者)は、指導医大会・ポートフォリオ講習会等に、研修プログラムの期限内(5年)に2回以上出席する必要がある。
  4. 研修施設は、研修者を常勤(週4日以上、複数の施設にまたがるプログラムの場合は週3日以上)で雇用できる施設とする。
  5. 複数の研修施設で一つのプログラムを共有する場合は、主たる研修施設に週3日以上、プログラム全体として週4日以上の研修が必要である。
    また、研修期間中は、プログラム全体で週4単位(半日を1単位として)以上の訪問診療の実務を経験させなければならない。

研修者が研修プログラムの質によって研修施設を選択できるように、研修施設の雇用条件は一般に開示することを禁じる。

なお、研修終了後の継続雇用は、研修受け入れ条件にしてはならない。雇用条件は、各研修施設と研修者の合意によるが、研修期間中の待遇は常識の範囲内で設定する。

研修者の登録

プログラムコーディネーター(プログラム責任者)は、研修開始後1か月以内に、研修者登録用紙を事務局に提出し、研修者を登録しなければならない。

研修者の登録がされていない場合、専門医試験の受験資格を得ることができない。

在宅研修施設での研修

在宅研修施設では、研修者は指導医とともに研修目標を設定する。

指導医は、定期的にフィードバックを行い、研修者が在宅医療に必要な領域を経験し、ポートフォリオを作成できるように援助する。

ポートフォリオの作成

研修者は、各研修施設において指導医と面接し、ポートフォリオの各領域(10領域)から必須項目(がんの疼痛緩和と認知症)を含む10領域15項目を作成する。このポートフォリオは、このテーマにおいて自分がどのような実践を行ってきたかがわかるような内容であり、研修者の在宅医としての力を示すものである。

具体的な、ポートフォリオ作成の方法については、ホームページ「ポートフォリオについて」を参照されたい。

提出されたポートフォリオは、一次審査及び二次試験のポートフォリオ面接で用いられる。